つなぱんとむくきんのかんけい




つなぱんまんは正義のみかたです。

ちなみにこの物語は正義とはなにか、やさしさとはなにかを子どもたちに教えるものではないのでくわしいせつめいははぶきます。

つなぱんまんはりぼおじさんにこき使われながら同じ正義のみかたのカレーパンマン・ハヤトと山本・しょくぱんまん・武と一緒に、悪のはつめいか、むくきんまんからちきゅうのへいわを守っていました。

きょうもあいつせめてくるんだろーなーなんかもうめんどくさいなあいいかげんあのさいのうをいいことにやくだてればいいのにとか少々やる気のないことを思いながら、つなぱんまんはりぼおじさんにせかされて悪をたいじにむかうのでした。


「くふふふ。今日こそきみを手に入れますよ!つなぱんまん!」


むくきんまんがせめてきました。

ものすごく固そうで大きなロボットに乗っています。

つなぱんまんは今回もパンチだけでなんとかなるだろとか思いながらとりあえずむくきんまんのところまで飛んでいきます。


「じゅうだいめ、すけだちしますぜ!」


カレーパンマン・ハヤトが言いました。

カレーパンマン・ハヤトはつなぱんまんの顔がとっくにじゅうだいめを過ぎているというのにかれのことをじゅうだいめとよびます。


「おれもてつだうぜ!」


しょくぱんまんも言いました。


「あー、だいじょうぶだよ二人とも。あいつなんか最近おれにこうげき当ててこないんだよね。他の人がいるとおこるから、一人でいくよ」


なかまと協力しててきをたおすというひーろーものの王道をむししてつなぱんまんはこんどこそむくきんまんのところへむかいます。

よそうどおり大きなロボットのうごきが止まり、なかからむくきんまんがでてきました。

むくきんまんは悪のはつめいかでしたが、色ちがいのきれいなひとみとさらさらの青いかみがいんしょうてきな、いわゆるびしょうねんというやつでした。

それにつなぱんまんはむくきんまんがわるいことはするけれど仲間にはやさしいことを知っていました。

だからつなぱんまんはかれを近くで見るたびむねがきゅうんとなってしまい、このかんじょうはなにかととまどうのでした。

同じようにむくきんまんも最初は正義のみかたでにっくきかたきだったつなぱんまんが悪である自分に、つつみこむようにあたたかな気持ちをくれるということに気付き、そのふわふわしたかみや大きなひとみ、小さなからだをいとおしくおもうようになっていました。

そうです。

てきどうしでたたかわなければならない二人はおたがいに恋をしていたのです。


「おまえ、最近おれにかびるんるんしかけたり水かけたりなぐったりしなくなったよな。なんで?」


「きみこそ、近ごろパンチがへろへろなんじゃないですか?飛ばされてもたんこぶできませんし」


初めて恋をしたかれらは今までひどいことをしてきた相手にどうせっしたらいいのかわからなくなっていました。

きずつく顔を見たくないと思いながらも正義のみかたは悪を、悪は正義のみかたたおさなくてはいけません。


「かびるんるんをしかけなくなったのはきみがしかけるまでもなく弱いからです。いいから早くぼくのものになりなさい。根っからぜんにんのきみに悪の心を植え付けてやります」


そんなことは本心ではないのに、むくきんまんはついにくまれぐちをきいてしまいます。

もうずいぶん前からむくきんまんの『ぼくのものになりなさい』は別のいみでしたが、それもいえずにいます。


「だからいやだっていってるだろ。パンチがへろへろなのはおまえが弱いからてかげんしてるの」


つなぱんまんも正義のみかたと思えないような子どもっぽいへんじをしてしまいます。

本当はむくきんまんに見つめられて『ぼくのものになれ』なんていわれるたびにどきどきしてしかたがないのですが、その気持ちを伝えられるほどつなぱんまんにはゆうきがありませんでした。

なんということでしょう、この物語とは似ても似つきませんが同じ正義のみかたのア●パ●マ●はあいとゆうきだけがともだちだというのにかなしいちがいです。

しばらく見つめあった二人はいつしかぼうっとしてまわりのことも目に入らなくなってきていました。

ここで一応まわりのことをせつめいしておくと、かびるんるんとしょくぱんまんがたたかい、やみるんるんとカレーパンマン・ハヤトがたたかっています。

ついでにどくろちゃんは安全なばしょでしょくぱんまんをみまもっています。

けんそうをよそにすっかり二人のせかいになってしまうと、いつもはいえないようなことも、できないようなことも、だいじょうぶな気がしてくるからふしぎです。


「あの、なぐったりしませんからふれてもいいですか?」


「えっ?」


さきにいったのはむくきんまんでした。

つなぱんまんもその場の空気にながされておとめのように顔を赤くしてはっとしました。


「お、おまえがさわると、おれ力がぬけちゃうんだけど」


それでもむくきんまんに恋しているつなぱんまんはだめとはいえません。

むしろ力がぬけてもいいからさわってほしいと思ってしまうのです。


「少しだけです、ね?」


近くなったむくきんまんの顔をちょくせつ見ることができず、ぎゅっと目をつむりました。

りょうかいの合図ととったのか、むくきんまんのてぶくろに包まれた手がやさしくつなぱんまんのほほにふれ、それからすっとおりてマントのとめ具近くを強くにぎりました。

なにをされるのかきんちょうやきょうふでふるえていたつなぱんまんはつぎのしゅんかん、おどろきでぱっと目を開きました。

むくきんまんの長いまつげと黒いしょっかくがよくみえるなあ。

こんらんしたつなぱんまんはそんなことを考えていました。

だって、むじかくに恋をしていたむくきんまんのくちびるが、つなぱんまんのふわっとしたほほにふれていりのですから、あたまがまっしろになったってしかたがありません。


「きみ、あまいです」


「だって、パンだし」


いままでとはまったくちがってやさしくほほえむむくきんまんにつなぱんまんはそうこたえるのがやっとでした。

むくきんまんもつなぱんまんがあまりによゆうなく顔をまっかにするものだからぎゅっと抱きしめたいのをがまんするのに必死でした。

だから気が付かなかったのです。

りぼおじさんとハル子さんをのせたつなぱんまんカーがすぐそばまでやってきていることに。


「つなさーん!だいじょーぶですかー!はっ、右ほほがむらさきにっ。やっぱりうごけないんですね。いまたすけますっ」


「おまえら浮かれてんじゃねーぞ。つなはちゃんとしごとしろ」


「新しい顔ですっ」


じじょうがまったくわからずこうげきされたと思ったハル子さんはつなぱんまんに向かってごうそっきゅうで新しい顔をなげます。

じじょうは知っているけれどもおもしろがっているりぼおじさんはにやりとするだけでいっさい止めてくれません。


がつっ。ぽろっ。がしゃーん!


いつみてもこわいなと顔の入れかわるようすを見てむくきんまんは思い、これから起こることをうけいれるじゅんびをしました。

顔がかわったしゅんかん、つなぱんまんは正義のみかたらしくなり悪にはパンチをおみまいせずにはいられなくなるのです。


「わるいな。むくきんまん」


「今日はキスできたので、とくべつになぐられてあげます」


りょうおもいだとしてもこの恋がみのるのか不安に思いながら、むくきんまんは目を閉じておくばにぐっと力をいれました。


「かいしんしろよ。つーなぱーんちっ!!」


「おぼえてなさい。くふふのふー!!」







けいしきどおりに物語をおえて、町にはへいわが戻りました。

みんなはよろこびましたが、ただ一人つなぱんまんだけはあの悪のはつめいかがせめてくるのをこころまちにしているのでした。













おしまい






あたまのわるいはなしでどうもすみません。
20081229